IIIFに関する取り組み
IIIF(International Image Interoperability Framework)とは
IIIFは、ウェブ上で公開されたコンテンツを効率的に共有し運用するために、世界中の文化機関(図書館・博物館・アーカイブズ等)によって策定・採用されている技術的な枠組みです。公開されたコンテンツをサイトの内外で自由に表示・操作できるようにすることで、さまざまな組織・地域・文化・言語によって蓄積されてきた多様な知識の潜在的な可能性を最大限まで引き出せるようにすることを企図しています。現在、国立国会図書館・フランス国立図書館・英国図書館をはじめとする各地の国立図書館や、国内外の多くの文化機関がIIIFに対応した画像公開を行っています。
IIIFの技術仕様に関しては、IIIF協会がオープンな議論を通じて簡易な公開・共有のためのデータ形式やデータ交換の方法を定め、IIIF APIとして提供しています。IIIF APIは機能ごとに6種類に分けられており、その中でよく用いられるものとして、複数のコンテンツを1つの資料としてまとめたり、さらにそれらをまとめて1つのコレクションとして扱うために開発されたIIIF Presentation APIと、ウェブ上で画像を自在に操作できるようにするための IIIF Image APIの2つがあります。このオープンな技術仕様に対応するアプリケーションについては、世界中のさまざまな機関や個人が開発に取り組んでおり、2020年現在、デジタルアーカイブの開発・公開から運用までをすべてオープンソースソフトウェアで対応できるようなソリューションが数多く公開されています。
IIIFについての詳細は、IIIF協会の公式サイトを参照してください。
人文情報学部門におけるIIIFへの取り組み
人文情報学部門では、上記のようなIIIFの趣旨に賛同し、2016年には日本初のIIIF対応デジタルアーカイブとしてSAT大正蔵図像DBを公開するとともに、IIIF協会に正式会員として参加し、日本におけるIIIFの活動への口火を切りました。その後、国内外の関連機関と協力しながら、国内におけるIIIFの普及と学術利用の可能性についての検討と実践を進めています。
IIIFセミナー・情報交換会
人文情報学部門では、国内外各地にメンバーを派遣し、IIIFセミナーやIIIFに関する情報交換会を実施しています。これまでの主な開催地は以下の通りです。
国立国会図書館(東京本館・関西館)、東京文化財研究所、東京国立博物館、筑波大学、国際仏教学大学院大学、大正大学、京都大学、東京大学、渋沢栄一記念財団、デジタルアーカイブサロン(科学技術館)、JADH2016ワークショップ(東京大学史料編纂所)、IIIFハンズオンワークショップ(一橋講堂)、大阪大学、九州大学、琉球大学附属図書館、県立沖縄芸術大学附属研究所、プリンストン大学NCCワークショップ、他
企業向けIIIFセミナー(無料開催)
人文情報学部門では、IT企業による国際標準対応を支援するために、IIIFの導入に取り組む企業に対して無料のセミナーや技術指導を実施しています。
インフォコム、凸版印刷、TRC-ADEAC、メノックス、早稲田システム開発、インフォマージュ、Stroly、他
IIIFコンテンツの開発
人文情報学部門は、IIIFコンテンツとして下記のウェブサイトの構築に関わりました。
SAT大正蔵図像DB(SAT大蔵経テキストデータベース研究会)
万暦版大蔵経(嘉興蔵)デジタル版(SAT大蔵経テキストデータベース研究会・大蔵経研究推進会議・東京大学附属図書館)
SAT大蔵経データベース2018年版(SAT大蔵経テキストデータベース研究会)
人文情報学部門は、IIIF対応アプリケーションの開発に関して、下記の取り組みを実施しました。
IIIF対応ビューアMirador Version 3におけるアノテーションツールチッププラグインの開発
IIIF対応ビューアMirador Version 3における動画アノテーションの実装
IIIF対応ビューアMirador Version 2におけるRight-to-Left viewingの実装
お問い合わせ
人文学におけるIIIFの活用・導入にご興味がおありの方は [sat _at_ l.u-tokyo.ac.jp] にご相談ください。